Hacking, I., 2006

  • Hacking, I., 2006 "Making up pelple," London Review of Books, 28(16), 23-26.

20年前と同じタイトルの論文。つまりハッキングさんにとって、この主題が重要ということなのでしょう(とはいえ今回は、書評誌の記事ということもあり、概略の記述にとどまっています)。
取りあげられる事例は、多重人格障害自閉症スペクトラム、肥満。これらをもとに、数え上げや量化などと関わらせて「人びとを作り上げること」について概説されてます*1。とりわけ自閉症の事例についてはごくごくコンパクトな概念史がありがたかったりする。
ちなみに、多重人格と自閉症の両事例が、過去とのかかわり方の構造の類似性をもつ点や、急速にこれらの概念が浸透していく理由がここにある点が、指摘されています。もちろんこれは、「自己を作る」もはや一般的仕方なんだろうけどね。
あと、"making~" という概念の力点がどこにあるのか、定義のなかで明確になっているようにも思いました(たんに作ることではなく、人間科学が、ということにすぎないのですが)。
The Taming of Chance (Ideas in Context)Rewriting the Soul: Multiple Personality and the Sciences of Memory

*1:マリリン・モンローBMI値は21から24のあたりだったそうで、最近のプレイボーイの女性たちになると16台なんだって。