Hull, D., 1994

  • Hull, D., 1994, "Ernst Mayr's influence on the history and philosphy of biology," Biology and Philosophy, 9, pp. 375-386.

初学者には難しく、わかったことといえば彼が次のように考えていることくらい。
種はクラスではなく、歴史的に偶有的な個物であると考えられている。そしてこの個体としての種は、有機体どうしの血統によって統合されているのだという。つまり個々の有機体は、性質の共通性ゆえにクラスのメンバーとして種に属すのではなく、個々の有機体の具体的関係を通じて種の部分として、その種に属すということだろう。したがってこの関係ゆえに個々の有機体間の形質の共通性がもたらされるという。ただしそうした形質を欠いても血統を共有するなら、その有機体は同じ種に属すことになる。
今のところ、かなり納得してしまっているのだが、どこかまずいところがあるのだろうか? とりあえずは同じ著者の1978年の"A matter of individuality"を読まねばならない。そしてもちろんここでクリプキさんが登場するはずだ。(11月28日)