模倣と内面化

  • Hacking, I., 2010, "Pathological withdrawl of refugee children seeking asylum in Sweden," Studies in History and philosophy of Biological and Biomedical Sciences, 41, 309-17.


おもにスウェーデンを中心に2001年以降に発生した、難民の子どもたちに広がった病的な無気力についての考察。著者は、この広がりの一要因として(あくまでも一要因であって排他的なものではない)「学習と内面化imitation & internalisation」を、提起する。
著者によると2002年の著書Mad Travelersのアプローチの線で考えているとのこと。しかし、「模倣」と「内面化」という旧来の概念をさほど明確な説明なく用いている点や、自らの説明モデルを"I & I model"などと呼んでしまうベタさ加減についてはいつものことと割り切るにしても、かれ自身が成因にまで明確に踏み込んで議論しようとしている点においてこれまでにはない危うい印象を持った。