Stocking, Jr. 1960

American Social Scientist and Race Theory: 1890-1915, Ph. D. Dissertation, University of Pennsylvania.
 ようやく読み終わる。まだ全体として飲み込めてないところもあって詳細を記すことはできない。が、概略としては、1950年代の社会科学における不可知論的人種概念にいたる由来をたどるものといえる。
 こうした不可知論的人種概念は、かつての人種概念が、ラマルキズムの拒否とともに人種概念と文化概念に分節されていった結果として成立したものだと。そしてこうした過程において著者がとりわけ重視しているのが、人体測定学による人種研究の計量化と、比較法によらない民族学的研究で、いずれもがなによりボアズに帰属されていく。
 なお、著者は1950年代の人種概念(とりわけ1951年のユネスコの第二声明)を肯定的にとらえている。自然人類学者と文化人類学者との統合が、そこにおいて成し遂げられたのだ、と。著者によると、これは再統合ではない。つまりかつてあった統合が、社会学主義(文化主義?)によっていったん壊され、それがもう一度(自然人類学者たちが積極的に関与して作成された)第二声明において再び統合された、というのではない、と。
 一見すると些細な部分のようにも思えるけれど、この点はきちんと押さえておく必要があるはず。