金森 修2005

『遺伝子改造』勁草書房.
現代思想』に掲載されたここ5、6年ほどの論文を主とした論文集。とりあえず第8章「参考資料--健康という名の規範」のみを一読(ちなみにこれは『科学哲学』に掲載されたもの)。
健康を複数の規範を設定できることとみる論点が設計主義的な生命観へとつながっている点を、『正常と病理』におけるカンギレムから著者は引き出す。この点から、医学の急速な科学化からすると若干out of dateと見なされかねないカンギレムの論点を、生命についての現代的な設計主義に結びつける。
結果、このカンギレムの生命観から理論的に、正負いずれについても設計の可能性が導き出される可能性がある、と。んで、だからダメだっていうんじゃなく、むしろこうした可能性があるゆえにこそ、現代の設計主義の理論的射程とその社会的影響を正面からオープンに(つまり付随的な暴力性などに即してタブー視するのではなく)検討していく必要性を述べていく。遺伝子改造