Ian Hacking, 2005

"Why race still matters", Daedalus, 134(1), pp. 102-116.
なぜ人種はいぜん問題になるのか?。
J. S. ミルをひとつの出発点にしながらそれを人工種と見たうえで、現在における、統計の中で用いられる人種概念をまず概観。そのさい、統計学的に有意(statistically significant)のほかに、統計学的に有意味(statistically meaningful)、統計学的に有用(statistically useful)の概念を提示する。
そのうえでハーンシュタインとマレーのThe Bell Curveにおける調査結果や、鎌形赤血球貧血や「黒人向けの心不全治療薬」とされるバイディル(BiDil)についての一般理解を、上記区別にもとづけて位置づけていく*1
そのあとC. ウェストに依りながら人種概念の系譜学をざっと概観し、帝国主義における分類の要請を見いだしていく。......例によって、検討は後回し。
ちなみに本論の基本的内容はすでにコレージュ・ド・フランスでの2005年3月23日講義で述べられている。最近の彼の論文は、講義がもとになっているようだ。
その他には、
Ian Hacking, 2004 "Between Michel Foucault and Erving Goffman: between discourse in the abstract and face-to-face interaction" なんて論文もある。まだ未入手ながら、この話題についてもすでに講義で述べられてた。

*1:バイディルについてはhttp://d.hatena.ne.jp/Minik/20050629/112002197