あまりプラスにはならない?

今後しばらく、長らく積んだままになっていたホームの書籍や論文を片づけていく予定。そこでまずこれから。

  • Hutchinson, P., R. Read, and Wes Sharrock, 2008,There is no such thing as a social science: In Defense of Peter Winch, Ashgate.

ポイントをまとめると、P. ウィンチ『社会科学の理念』および「未開社会の理解」を中心にしつつ彼の実証主義的社会科学批判の概要を説明しながら、反実証主義的アプローチ隆盛の今日の文脈における意義を明確にする、といった感じか。担当が誰なのかはわからないが、1章と2章の文章はひどく読みづらく、その苦労の割に益が少ない。また3章は、とてもわかりやすいエスノメソドロジー論となっている。とくに引っかかるところはない、だからまたとくに面白いというわけでもない、そんな感じ。
ところで、巻末の文献表を見て意外だったのが、いぜんとしてあれこれ刊行されているウィンチ関係の書籍。『理念』だって50周年記念と銘打って、R. ガイタの新しい解説を付して本文の配置とページ番号までも変更した新版が2007年に刊行されているのだった。

The Idea of a Social Science and Its Relation to Philosophy (Routledge Classics)

The Idea of a Social Science and Its Relation to Philosophy (Routledge Classics)