Ian Hacking, 2002

"The Archaeology of Michel Foucault" in Hisorical Ontology, Harvard U. P., pp. 73-86.
もとはThe New York Review of Booksに載った書評とのことだが、今回読み返してみて、とても充実した論文であるとの印象をもった。こんな書評ってなかなかないだろうと思う。ただし、フーコーの議論よりもハッキングの考え方について分かるという感じ。「このオッサン、こんなこと考えてるんだ」と合点がいくしだい。

以下は、この論文のなかではとくに重要だとは思われない部分。改めて言われるはずのことではない。けど、とりあえずある個人的事情からのメモ引用であることをご了承あそばせ。頁は80頁。

『言葉と物』で取りくんだプロジェクトを少なくとも拡大させていく、内在的理由も十分にあった。もしかりに、ひとつの言説というものが、ある領域において言われている事柄全体のかたちにおいて存在するということになれば、科学の英雄がなした知的到達点の外に出て、あらゆる領域で言われていることをサンプリングしなければならない--公衆衛生の年報だけでなくその日の新聞までをふくめて、だ。そこでは、誰が何を誰に対して言ったかを考えなければならなくなるのは避けられないだろう。
フーコーが伝統と根本的に手を切ったのは、そうした地点においてだった。誰と誰に対して、について手を切っていたのである。


ちなみに電話しながら書いていた↑の書き込みの前バージョンは、修正しておきました。
Historical Ontology