もうひとつ微妙な細部

引き続き、Ian Hacking, 2004 からもうひとつ微妙な細部。

実在論とはここでは、プラトン主義的なものと今日の英国哲学で理解されているようなもののいずれをも意味している。後者〔のような定式化の仕方〕については、マイケル・ダメットに依拠している。彼が言う実在論とは、命題について〔真偽の〕二値性の不変性を主張するものである。Rewriting the Soulの17章は実際、この二番目のタイプの実在論に反対しているのである。すなわち、PTSDなどの診断そのものが特定の時と場所に出現したということについての実在論的主張に。……〔すなわち〕第一次世界大戦において敵前逃亡のかどで射殺された英国とカナダの戦士たちが、PTSDをわずらっていたということは、真であるとも偽であるとも明確に決めがたいと私は主張した。この問いに対するドグマティックな実在論の立場--プラトン主義的でかつ二値主義的実在論--については、Sharrock and Leudar(2002)の批評およびそれに続く一連の論争……を見よ。

この点については、↓の本(抄訳)の3章と10および12章。

真理という謎

真理という謎

ちなみに、上記引用部における後半部の問題って、厳密に言えば、記述と意図的行為について扱ったアンスコムの問題からはずれて行っているハズで、その辺、どうなんでしょ(彼の別の論文でアンスコムの話しはわきに置いておくと言い訳してましたが)。