「そう」

 研究会後、午後はトランスクリプトを作成。そのなかで、「そう」の繰り返しが、頻出する。
 ちなみに定延利之2002「「うん」と「そう」に意味はあるか」(同(編)『「うん」と「そう」の言語学ひつじ書房, 75-112頁)によると、感動詞「そう」は大きく次のように分けられている*1

 (1)照応詞:先行文脈の指示、
 (2)肯定応答:ex.「〜〜?」「そう」、
 (3)疑念の「そお〜?」、
 (4)合格点を出す「そう」:「他者の意志的動作に対して肯定的な評価を与える際に発せられる、
 (5)了解の「そう」:ex.「先方方様がお見えになりました」「そう(か)」by社長
 (6)気づきの「そう」:何かに気づいたことを表す際に(前置きとして)しばしば発せられるもの
 (7)フィラーの「そう」:CAではいわゆる「修復」といわれているやつ、
 
 僕が見ていたデータでは、さしあたりこの区別によれば、(4)にあたる。
 けれども、「(4)」とわかるのはどのようにしてなのだろう(僕にもわかるし、そのようにわかられているから、別の参加者の行為が継続されていく)。言ってみれば、この行為が継続していくことと(4)として理解可能であることとは切りなはせない。
 さて、このアイテムは、どのような条件のなかで、(4)として生じていくのだろう。
 データに見られる限りでごく表面的に言えば(だから一般としては言えないけど)、参与枠組みの特定のあり方(具体的にはうまく言えないがベタにいうと、実行すること(実演すること)と肯定的に評価すること)と結びついている。けど、これは答えになっていない。ただ同一の事態をなにやらわからん語で言いつくろっているだけ。
「うん」と「そう」の言語学

*1:ちなみにここには串田さんの「会話の中の「うん」と「そう」--話者性の交渉との関わりで--」も入っている